「THE UNTOLD HISTORY...」の「幻想水滸伝」の章について

以前の「『THE UNTOLD HISTORY OF JAPANESE GAME DEVELOPERS: GOLD EDITION (ENGLISH EDITION)』はゲーム史に残したい一冊」という記事で、この本の中に「幻想水滸伝」を扱った章があると書きました。

具体的にどのような内容なのか、もちろん全文を掲載することはできませんが、その一端が分かるように、作者による質問部分を引用いたします。これに対する村山さんの回答にはとても興味深いものも含まれています。

村山さんへの質問

  1. コナミに入社した経緯を教えて下さい。
  2. そのゲーム機(コナミが開発していたポータブルゲーム機)は、ゲームを納めるメディアとしてどのようなメディアを用いていたのですか?
  3. そのゲーム機(コナミが開発していたポータブルゲーム機)の外観やインターフェイスは完成していましたか?簡単に描いてもらうことはできますでしょうか?
  4. そのゲーム機(コナミが開発していたポータブルゲーム機)のスペックを教えて下さい。
  5. なぜそのゲーム機(コナミが開発していたポータブルゲーム機)は発売中止になったのでしょうか。
  6. コナミが開発していたポータブルゲーム機では、村山さんが開発していたRPGに加えて、レースゲームと格闘ゲームが開発されていました。それぞれどれぐらいの開発が進んでいたのでしょうか。そしてそれぞれのゲームは、結果として何か他のタイトルに昇華してリリースされたのでしょうか?
  7. 河野純子さんについて教えて下さい。彼女はシナリオライターであり、ディレクターであり、キャラクターデザイナーでもありました。私はコナミに繰り返し、河野さんにインタビューしたい旨を伝えてきましたが、USのコナミは熱心な一方で日本のコナミは取材を拒否し続けているんです。
  8. コナミの新しいポータブルゲーム機のために、村山さんはRPGの「前編」を作りました。なぜ本編ではなく前編を作ったのですか?
  9. 「幻想水滸伝」を作る以前には他にどんなRPGをプレイされてきましたか?ドラゴンクエストVのソースコードを研究したと聞いたことがあるのですが。
  10. 「幻想水滸伝」のアイデアはどのようにして生まれてきたのでしょうか。村山さんの中にある「主人公だけが強いのではなく、周辺のキャラクターも強くしたい」という願望が具現化したものと考えていますが、いかがでしょう。
  11. 村山さんは「水滸伝」の小説にお詳しいですか?「幻想水滸伝」のストーリーは「水滸伝」とはかけ離れていると思うのですが。
  12. 「幻想水滸伝」と一緒に開発されていた他の2つのRPGが発売中止になりましたが(注:結果として3つのゲームのチームが「幻想水滸伝」チームに統合された)、どのようなゲームだったのでしょうか?
  13. 他のRPGですとプレイヤーは戦闘から「逃げ」ますが、「幻想水滸伝」では賄賂を贈って見逃してもらったり、レベル差が存在すると相手が逃げ出しますよね。このようなシステムはどういう点から発想されたのでしょう?
  14. 「幻想水滸伝」では多くのイベントを見逃す可能性が点在しています。たとえばクライブイベントや、グレミオのレシピ39などです。プレイヤーの中にはこれらのイベントが永久に見られない人も出てくるということは認識済みだったのでしょうか?
  15. 開発期間の制限のために、「幻想水滸伝」や「幻想水滸伝II」で実現できなかったことを教えて下さい。
  16. 「幻想水滸伝」や「幻想水滸伝II」ではとても大人びたテーマが扱われていますよね。例えば、父親殺し、テロリズム、独立戦争、化学兵器、大量殺戮、戦争犯罪人への死刑執行、一般市民の殺害、人種差別などなどです。これらのテーマを扱うことで何かしらの批判はありましたか?このようなことを敢えてゲームに取り込んでみようとしたということでしょうか?
  17. 私が「幻想水滸伝II」で一番好きなシーンは、料理対決のシーンとレシピ集めなんです。このアイデアはどこから生まれたのでしょうか?
  18. 「幻想水滸伝」や「幻想水滸伝II」は日本のみならず、世界中で愛された作品になりました。世界中のファンへのメッセージをお願いします。
  19. 「幻想水滸伝III」の開発初期には、3Dではなく2Dで作るという構想はあったのでしょうか?
  20. 「幻想水滸伝III」にはササライが操作できる章が含まれるはずだった、という噂を聞きました。それは本当ですか?幻水IIIでは実装されなかった要素はあるのでしょうか?
  21. なぜ「幻想水滸伝III」の開発中にコナミを退職されたのですか?
  22. 今後の村山さんの予定を教えて下さい。
  23. 下掲(注:原文では「上掲」)の画像の左下に幻想水滸伝の画像があります。これは坊ちゃんが誰かに対峙している、映画のワンシーンのような画像に見えます。これはいったいどんなシーンなのでしょうか? f:id:gregminster:20160501200826p:plain
  24. これまで誰にも話していないような逸話のようなものはありますか?

原書

原書のKindle版は日本のAmazonで購入できます。紙版は米Amazonの方が安価です。

補足

上述の21番めの質問である村山さんへの退職理由ですが、スイスのゲーム雑誌である「LEVEL」の第41号(2009年発売)で、村山さんは次のように答えています

それは正しくはないですね。コナミはいつも私にとどまるように説得してくれました。「幻想水滸伝II」が成功した後は私の意見を聞いてくれるようになりましたし、私からの意見も通るようになりました。私が「幻想水滸伝III」のクレジットから外れているのは単に社内のルールがそうであったというだけです。
私はコナミに入社して10年以上はそこで働きたくないと考えていたんです。フリーランスになりたいと。2002年になりその年になって、3本のゲームを作ったことだし独立しようかなと。いざこざみたいなもんはありませんでしたよ。今も幻水チームとはよく飲んでますし。
もしコナミが私に戻ってきてほしいとオファーを出してきたら、熟考する用意はありますね。

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