北米版の「Suikoden II」の配信に合わせ、Kotakuに掲載された記事「Why You Should Play Suikoden II, One Of The Best RPGs Ever Made」を日本語に訳しました。
奇しくも本日は「幻想水滸伝II」の発売から16周年の日。改めて幻水IIの魅力について確認できればと思います。
※日本では PlayStation Store にて、「幻想水滸伝Ⅰ&Ⅱ ベストセレクション」が 1,851円 でダウンロードできます(PS3、Vita、PSPでプレイが可能)。
※海外では長らく幻水IIの正規品が適正価格で入手できる状況が無く、数万円のプレミア価格で手に入れるか海賊版で手に入れるか、という状況が続いていました。
※「PlayStation Experience」で Suikoden II が発表された際の Keynote の一幕です。
過去最高のRPGである「幻想水滸伝II」をプレイすべき理由
一部のゲーマーにとって、今日*1は本当に大きな、大きな、ここ数年で最も大きな一日となりました。
土曜日*2に行われた「PlayStation Experience」にて、コナミとソニーにより、「幻想水滸伝II」のPSNでの配信が決定したことがサプライズ発表されたのです。これは、10年来のファンの願いでもありました。
私は正直言ってこの言葉を書くことは決してできないと思っていました。「幻想水滸伝IIがPSNで配信される」と。しかしここについに本日、PS1をひっぱり出さなくても、eBayでプレミア価格を出さなくても、ゲーマーたちはこの世界で最も素晴らしいRPGをプレイすることができるのです。PS3とVitaでプレイでき、価格はたったの10ドルです。これはもうプレイするしかないでしょう。
え?もっと中身がある推し内容が聞きたい? オーケーわかりました、幻水IIの質問に答える形式でこの作品について説明します(以下、会話形式でお送りします)。
このゲームの名前は本当に「Suikoden II」なの?シンプル過ぎない?(訳者注:意味を尊重して一部原語ままです)
うん、この名前は、ベースとなっている中国文学の名前を日本語にしたものからできているんだ。英語では明らかに普通の名前すぎて、もっとキャッチーかつマーケティング的に有利な名前が付いていれば、日本以外でも大きなヒットになったんじゃないかな。
「Suikoden」はどう発音するの?(訳者注:意味を尊重して一部原語ままです)
「すい - こ - でん」だ。
「II」ってことは…これは二作目なの?
ああその通り。シリーズには5つのナンバリング作品といくつかのスピンオフ作品があるが、ここではあまり詳しくは触れないでおく。「幻想水滸伝」と「幻想水滸伝II」が初代 PlayStation の作品で、「幻想水滸伝III」「幻想水滸伝IV」「幻想水滸伝V」が PlayStation 2 の作品だ。
じゃあなんでみんな幻水IIのことについてばかり語っているの?
幻水IIは特別なんだ。それを説明するため、数分の時間をくれないか。まず最初に、いくつかの背景について話そう。
あんまり背景とかには興味ないんだけど。
手短にいくよ。まず1995年の PlayStation が生まれて間もない頃に、コナミが素晴らしい音楽とともに送り出した 2D の RPG があるんだ。それが「幻想水滸伝」だ。村山吉隆氏というプログラマーがこの作品の中心となったクリエイターなのだが、彼は、この作品の主眼を、ストーリーと、「3Dゲームにはない」味のある雰囲気に求めたんだ。それが功を奏してか、プレイヤーたちは本当にこの作品のことを気に入ったんだね。しばらくの間、「幻想水滸伝」は PlayStation での最高の RPG と広く評されていたんだ(ごめん、「ビヨンド ザ ビヨンド」!)。そして多くのファンの間に、幻水の巨大な物語背景やサクサクとした戦闘システム、心を打つストーリーが響き渡るようになったんだ。
そしてこの「幻想水滸伝」は「幻想水滸伝II」となり正当な進化を遂げる。村山氏の最高傑作だ。
Intro Suikoden II (HD) - YouTube
じゃあ幻水IIは他のゲームをぶっちぎってヒットしたの?
いや、そうではなかった。幻水IIは商業的にはそこまでのヒットには至らなかった。理由としては、(A)その平凡なゲームタイトル、(B)コナミが当時2Dゲームよりも3Dゲームに注力していた、(C)北米ではちょうど同時期に「ファイナルファンタジーVIII」がリリースされた、などが挙げられるね。
しかし実際にプレイした人は、「幻想水滸伝II」が最高の作品だろうと思ったろうけどね。
いったいぜんたい、どこがそんなにいい作品なの?
多くの点がある。うん、とても多くの点があるんだ。壮大であると同時に深遠な旅の話であり、幾分広範囲な政治的陰謀の話も出てくれば仲間内の親密で個人的な友情の話もある。ルカ・ブライトという悪党がおり、彼は過去のゲームに出てきた人物の中でも指折りの恐怖を与えてくる。キャラクターはとても魅力的だ。ストーリーは心に深く染み入る。グラフィックも綺麗で、音楽も素晴らしい。戦闘シーンは本当にサクサク。クッキング対決のミニゲームもある。ムササビも飛んでるんだ。友情と裏切りと愛情と死別がそこにはある。
加えて、自分自身の城を持つことができるんだ。
城が持てる?
ああ。最初は主人公は一兵卒から始まるんだけど、運命がもつれあっていくうちに一城と一軍の主となるんだ。幻水IIでは、前作やその後のシリーズでもそうであるように、主人公が108人以上にも及ぶ仲間をスカウトすることができる。それぞれのキャラが様々な能力を持ち、様々な性格をしているんだ。仲間を集めるにつれ、城は拡張していって、まさに主人公の根城となる。これは本当に素敵なシステムだよ。
そんなに多くのキャラクターがいるんだ。
このゲームの魅力の一つだね。キャラの中には人数合わせのためか、ありきたりなキャラも含まれちゃっているけれど、大半は他のRPGでメインを張れるようなとても魅力的なキャラだよ。何より素晴らしいのは、前作の「幻想水滸伝」のキャラクターが何人か登場することだね。その中には、2人の特別な愛情ある「兄弟」が含まれていて、彼らは世界中の同人ネタでの人気者となったよね*3。
じゃあやっぱり前作からプレイしたほうがいいのかな?
うん。できるならそうすべきだね。幻水ファンの特徴の一つは、シリーズを通じて作品を愛しているってことなんだ。他の RPG とは違って、幻水では同じ世界観、物語、キャラクター、設定が一つのセットになっていて、これが一連のかたまりとなり、映画というよりかはむしろTVシリーズに近い作品になっているんだよね。「ゲーム・オブ・スローンズ」(訳者注:有名な海外のTVドラマシリーズ)みたいなものかな。シーズン1はエダード・スタークだけの物語だったのが、シーズン2ではラニスター家が登場した、みたいな。
それと、前作のセーブデータが幻水IIでコンバートができて、おまけのシーンが見られたり特別なクエストが受けられるよ。
どの作品からプレイすべきかな?
どうしても最初の「幻想水滸伝」がプレイできないならば、もちろん「幻想水滸伝II」だね。でも本当はやっぱり初代からプレイしてほしい。とっても素敵なゲームだし、幻水IIをプレイした際にそれを強く痛感することになると思うから。「幻想水滸伝」は、PS3 と Vita でたった5ドルでプレイできるよ。
幻水って本当に「ゲーム・オブ・スローンズ」みたいな作品なの?
本当、本当だよ。「『ゲーム・オブ・スローンズ』が『ポケモン』に出会った」みたいな感じかな。幻水では、「ゲーム・オブ・スローンズ」みたいに平和と力を求める「人」の物語が展開されるんだ。想像もつかないような出来事の中でね。そしてポケモンのように仲間集めにいそしむことができる。
うーん、まだピンと来ないなぁ
鉄の料理人みたいな人だね。
だって大抵のいわゆる JRPG が好きじゃないんだ。全部退屈なんだよ。分かる?
そりゃ分かるよ!でも幸運にも幻水IIには退屈な場所は無いし、ダンジョンやボスの難易度も決して低くは無いけれども、戦闘システムでの「オート」コマンドや、低レベルキャラがすぐにレベルアップするシステムなどのおかげでバランスが良く苦痛じゃないんだ。それに108人の仲間から、紋章やコンビネーション攻撃などを考えての異なるパーティメンバーを選んでのプレイは、とても楽しいものだよ。
プレイをする前に知っといた方がいいことってある?
そうだね、プレイする前にまずこれは16年前のゲームだということを心に刻んでおこう。そうすれば、この作品は確かにサクサク進むけれども、いくらかバグが潜んでいたり問題点があることも容認できると思う。「幻想水滸伝II」をプレイする前に「幻想水滸伝」をプレイするならば、セーブデータをコンバートできることを忘れてはいけない。だが最初のプレイでは108人全てを集めようと躍起になる必要はない。何人かの仲間は仲間にするのが非常に難しい!攻略法をはじめから見るのも良くない。それはつまらないよ。
それと、時間を使って世界を探索し、その世界観に浸るといい。最初はゆっくり、徐々にズッポリと。気分が高まっていくはずだ。
他には?
とにかく幻水IIは最高のゲームであり続けたんだよ。ストーリーについては文句のつけようがない。信じてプレイしてみないか?本当に、本当にいい作品だよ。
そんなに素晴らしい作品なのに、なんで今日までPSNで配信されなかったの?
とてもいい質問だ。この5年間、その質問には答えようと思っていた。コナミが全く情報をくれないので、ファンはいくつかの仮説を立てていたんだ。バグがあるから、ライセンスの問題があるから、とかね。でも実際には、本当に、とても単純な答えだったんだ。「コナミが売ることを考えていなかった」。どういうわけか、熱心なファンの力で「売るに値しないということはない(=なんで売らないの?売ったほうが絶対いいよ!)」と納得させるに至ったんだ(「Suikoden Revival Movement(幻想水滸伝の復権を望む会)」のここ最近の活動の成果だね)。
今後も幻水は盛り上がるかな?
そう信じてる。ちょうどコナミがこの作品がいかに優れているかを知ったことだろうし、シリーズを通して復活をしてくれるんじゃないかな。でも、より重要なことは、今ここに過去最高のRPGが再び入手できるようになったということ。ぜひとも多くの人にプレイしてほしい作品だ。後悔することはないだろう。
原文:Jason Schreier(You can reach the author of this post at jason@kotaku.com or on Twitter at @jasonschreier.)